俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



なんて考えては、考えを改めなおす。

変だ、変。おかしすぎるでしょ。女の子に対して"お前"なんて呼び方する男の子なんてどう考えても失礼なのに。なんでそれを他人行儀みたいだなんて残念がっているんだ、私。


変なのは大志くんもだ。だって私より頭良いはずだし、私なんかに聞かなくたってわかるはずだ。なのになぜわざわざ私に質問なんか……。



「そっか、ありがとう、小田さん。わかりやすかった」

「……どういたしまして」



目を細めて口の端を持ち上げる目の前の優等生くん。私はそんな彼に一瞥をやると、得意な英語を切り上げて苦手な数学に取りかかることにした。さっきの話だと佐藤くんは数学が得意らしいから、たくさん教えてもらいたいところだ。


友だちとする勉強会って捗らないイメージだし、いままでの経験からそうだったけど、今回はすごく真面目に進められている。不思議。


まあたぶん、この3人が珍メンすぎて盛り上がる会話のネタがないだけなのだろうけど。



「……だいぶ暗くなってきたね」

「ほんとだ」



佐藤くんが窓の外に目を向けて言葉を放った。私も彼に倣ってそちらを見ると太陽は沈んでいて、校庭が翳り、薄暗い。夜になりかけている。空の色は黒というよりは、藍色っぽい。淡く、白い月が見える。

満席に近い状態だった図書室内も、だんだと人数が少なくなってきていた。



「あーもう、わかんない」

「どこ?」

「ここ」

「あー、ここか。あ、よければ俺のノート貸しとこうか?俺、数学はもうノー勉でもいけそうだから」

「えっ⁉︎いいの⁉︎」