俺がこんなに好きなのは、お前だけ。




友達のなかにはいるんだ。たくさん恋をしている人。


いまの彼氏が初めてじゃなくて、3人目だとか、別れたと思ったらあの人が好きだと打ち明けられることも少なくない。


私となにが違うんだろう?

私に足りないものがあるなら教えてほしい。



***



次の日。目を覚まして、ご飯を食べ、学校へ向かった。
学校に到着して、廊下を歩いていると、B組の前に佐藤くんが友達と楽しそうに話している姿が目に入る。


すると私に気づいた佐藤くんが「あ、おはよう」と声をかけてくれた。



「おはよう」

「昨日はほんと、ありがとね」

「ううん、こちらこそ」

「そっちは1時間目なに?」

「体育だよ」

「わー、それは大変だ」



佐藤くんと話していると「なになに?」「どうしてふたり仲良いわけ?」と、近くにいた男の子たちがざわめきだす。



「昨日ちょっと……ね?」



目配せをしてきた佐藤くんに頷いた。



「はあー?詳しく聞かせろ!」

「やめろっ、ばか!」



戸惑う佐藤くんの肩に腕を乗せて絡んでいく友達。
目の前で繰り広げられる男子たちのノリに笑って「じゃあね」と自分の教室に向かう。


ふとそのとき、前から強い視線を感じて顔をあげるとそこにはこちらを見る佐野大志の姿があった。


目があって、でも、彼はなにごともなかったように教室に入って行った。


なによ、挨拶ぐらいしたっていいのに。