俺がこんなに好きなのは、お前だけ。




店員さんに席へ案内されて、佐藤くんとは向かい合わせで座った。


ひとつしかないメニューを佐藤くんが開いて「小田さん、なに飲む?」と聞いてくれた。


細やかな心配りができる人なのだとわかった。



「キャラメルにしようかな……でもさすがにカロリーやばいかな?」

「小田さん細いし、今日ぐらいならいいんじゃない?」

「……!?」



佐藤くんの発言に、目を見開く。たぶんいま、私の目は相当輝いている。


細い?私が?この幼児体型の、くびれもなにもない私が?


全世界の男の皆さん、聞きましたか。いまの佐藤くんのパーフェクトな返し。


感動して、言葉になりません。



「どうしたの?小田さん」

「……ううん、じゃあ注文しよっか」

「そうだね」



にこやかに笑って、手をあげて店員さんを呼んだ佐藤くんが私のぶんの注文までしてくれた。


なんて、いい人なんだろう。


物腰が柔らかくて、注文後は店員さんにもきちんと「ありがとうございます」と言える人だった。



「急に誘ってごめん。なんも用事なかった?」

「うん!どうせすることなかったし、むしろ誘ってくれてありがとうだよ」

「いきなり誘って迷惑だったかなっていま反省してた。でも俺、小田さんと話してみたいなってずっと思ってたんだよね」

「え?」



照れたようにすこし頬を赤らめて笑う佐藤くん。
流れ出すむず痒い雰囲気に、急に落ち着かなくなった。