「私がももかちゃんなら、絶対に大志と私を会わせたりしないもん。大志はずっと自分のことを好きって言う女の子のこと、信用できなかったじゃん?」
頷いた。美夜は、知っている。俺が恋を信じていなかったこと。恋に、不信感を抱いていたこと。
「私のせいで恋をもっと信じられなくなったと思うんだけど……それでもさ、もうそろそろ、いいんじゃないかな?」
「……?」
「本気の恋、したってさ」
ふと空を見た。雲がゆっくりと揺蕩うように流れる、穏やかな景色。
俺の心のなかも、同じだった。至極穏やかで、温かくて、例えるなら春のような。
息をこぼすように笑うと頷いた。
「そうだなぁ……」
俺も、覚悟を決めよう。
この気持ちがなくなってしまうかもしれないとか、あいつのなかの俺への想いも、いつか消えてしまうかもしれないとか、そんな予想の範疇でものごとを考えるのをやめる。
そんなの、いくら考えたってわかるはずない。この先お互いの気持ちの行方なんて、誰が予知できる?
大切なのは、いまの気持ちかもしれない。
俺はあいつが好きだ。ももかが、好きだ。ももかにはいつだって笑っていてほしいし、泣かせたくない。守りたい。そばにいて、支えたい。
不安なときは、となりにいて、手を握る。涙を流す瞬間がきたら、俺が拭う。笑わせてみせるし、辛いときは一緒に立ち止まって、頑張らずに休憩しよう。
他の誰でもない、俺が、お前のそばにいたい。
他の男になんて、死んでも渡したくない。
「じゃあな、文化祭、楽しんで行けよ」
「うん、ありがとう」



