「大志のこと、好き、なの……」



正直、美夜も同じだった。
美夜は学年でいちばん美人だと言われているような女の子で、長い黒髪と白い肌が群を抜いて美人度を高めていた。


俺もすげぇ美人な女がいるって、はじめて美夜のことを見たときそう思った。


だけど俺のことを好きな女なんて、俺は、どうしても信用できない。

美夜にはじめて告白されたのは、中学二年生の春だった。



「ごめん。誰とも付き合う気ないんだ」



もちろん俺の返事はこうだ。もう何度言ったかわからない台詞。噂好きなくせに、こういう情報は共有しないのか。それとも都合の悪いことは、聞かなかったことにするのか。


俺はやっぱり女子の考えることは、わからない。ほとほとうんざりする。



「私、大志のこと、諦めないから……っ」



去り際に、美夜が吐いた言葉に目を見開いた。
でも、どうせそんなのすぐ覆る。美夜だって男からモテているのだから。きっと、自分に振り向かない男なんて待っていられるはずない。


そう、思っていた。

だけど、彼女は違った。



「好き!」

「大志、付き合おうよ」

「デートしよっ」



ずっと素っ気なく接していた俺に懲りずにアプローチを続けてきたのだ。


諦めることなく、毎日。俺が、なんと言おうと。