文化祭の準備が終わり、とうとう待ちに待った当日がやってきた。


学校は普段の姿から一変し、華やかに姿を変えた。校門から造花や看板で埋め尽くされており、外でドリンクや焼きそばを作って販売しているクラスもあるみたい。まるで、花火大会のときの出店のようだ。


校内も生徒の工夫で満ちている。
部活動でおさめた成績を披露するように、賞状やトロフィーがいたるところに飾られて、美術部はこの日のために絵を展示していた。


放送部は1日を通してたくさんのことを放送するのだと、クラスの放送部の子が言っていた。今日一日のBGMも放送部担当だ。


うちのクラスはカフェということで、店員役の生徒はかっこいい黒のエプロンと白シャツ、男の子は黒のズボン、女の子は黒のタイトスカートを着用した。衣装班が全員分を用意してくれた。



「ももか、衣装似合ってるね!」

「そうかな?結衣羽も可愛いよ!」



結衣羽に褒められて照れてしまう。結衣羽はダンス班なので、キラキラのスパンコールがあしらわれた派手な衣装を着ていた。最近流行っている歌に合わせて踊るらしい。リハーサルを見たけれど、なかなかの完成度だと素人目でもわかる。



「彼氏、今日来るの?」

「うん、一応ね。午後はふたりでまわるんだ」

「楽しみだね」

「ももかもでしょーが。佐野大志とふたりでまわるんでしょ?」



結衣羽の言葉に「うん」と微笑んだ。そのあと、遠くにいる大志くんを見る。クラスメイトと話している姿。