ワケあり王子のオトし方


「あああああ!悔しい!くそぅ!」


猛ダッシュで教室に到着した私は、隣の空き教室に真琴を連れて入るなり叫んだ。
叫びたかったのだ。叫ばなければ、心が晴れやかにならないから。


「落ち着きたまえよ、優羽」


「落ち着いてられませーん」


「うむむ」


戻りたい。一週間前に戻って、やり直したい。
どうして私が魔王のニセの彼女にならねばならないのだ。あんな奴、息をするだけで女が近寄ってくるだろうに。

私は本日何度目か分からないため息を吐き出し、頭を抱えて蹲った。そうして頭に流れ込んできたのは、先日西園寺が言っていたことだ。


『ーー俺と並木さんは、学園一の美少年と美少女。誰もが羨む理想のカップルであり、この上ない組み合わせだ』


西園寺と私は、学年一の美男美女。確かに誰もが羨むカップルだ。


(…だけどねぇ)


だからと言って、付き合って何になると言うのだ。

私はただ、アイツをオトしてフって、高笑いしたかっただけなのに。


「どうしてこうなったんだよぅ…」


私の呟きに返事をしてくれる人は、誰もいなかった。


誰か、私に教えてくれませんか。

魔王のような王子をオトす方法を。