だけど、ほんの僅かだけど真尋との
思い出はあって、それを頑なに
手放さなかったのは私の方だから。
...これは仕方のない事なんだ。
真尋の呪縛からは逃れられない。
いや、逃れたくないと
ずっと思っていた。
私の事を愛してくれる人は
真尋しかいないと思っていたから。
部長に出会うまでは。
部長の手から真尋の携帯を奪うと
私はそれを力いっぱい放り投げる。
無機質で複雑な配線が公になった
無残な携帯を見て真尋は
いつも通り私の事を殴った。
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