「早苗が上から命じられていた任務は、
“野崎を釣れ”。

でも俺からこっそり早苗に頼んでたんだ。


“待合室にいる間は、
ずっと君の事を観察してくれ”って。


まぁ・・“そこまでやれとは言ってない”
ってちょっとあいつとはケンカになったけど、

優秀な島田刑事はずっと君の事を隠し撮りしてくれてた。

だからばっちり写ってたよ。
君がスマホを早苗に向ける瞬間。

殺人のターゲットを写真に納めるのが君の流儀か?」



「ちょっと・・
ちょっと待ってよ・・・。

なんで僕の事を・・?
お前達は野崎先生を疑っていたんじゃ・・ないのか?」



「初めてクリニックに行って野崎に話を聞いたあの時から、

野崎は鉄槌者じゃないって思ってた。」


「・・・・なんだって・・?」


「野崎は足を悪くしてた。

1件目 迫田、
2件目 向井、
4件目 西島
はどうにかなったかもしれないけど、

彼に3件目の飯塚は殺せない。

飯塚の死因は撲殺。

凶器は鉄製の何かを使ったみたいだけど、

バレー強豪校のコーチを務める屈強な男が、足というハンデを抱える野崎に負けたというのは考えにくい。


だから俺と小西は、

野崎マサアキを除外して、院内の関係者を容疑者として考えるようにした。」