天使の扉

学校の門の前に立って綾音は感動していた。

懐かしい。ちょっと汚くなった感じはあるけど、この門をまたくぐれるようになるなんて。

綾音は教室へと急いだ。


「おはよー!」
玲奈が嬉しそうに寄ってきた。
「おはよ。綾音。今日は元気だね。ここのところ元気なかったから心配してたんだよ」

綾音は微笑んだ。

「うん、ごめんね。ありがとう」

そんな綾音を見て玲奈は首をかしげた。

「…何だか大人びてきたね」

綾音は驚いた。
「え?そ、そうかな?」

かをりの記憶のせいかもしれない。私は変わっていないのに。

「みんな席につきなさーい」

担任の先生が入って来て会話は終わった。




授業が始まって綾音は気付いたことがあった。
知っている問題。答えが分かっている。
だってすでに勉強したところだもん。かをりは成績がよかった。クラストップの実力を持っていたから。

「得した~」

綾音はのんきに思っていた。



給食が終わって玲奈が話しかけてきた。

「ねね、綾音。クラブ申請した?」
「うん、テニス部。お父さんがいいって」
「やったぁ!じゃあまた一緒にやれるんだぁ」
「うん」
「じゃあ、今日からになるの?私は土曜日からやってるけど全然きついよ」
「そっか…今日からでもいいんだっけ」
「やってこうよ!」
「体育着でいいのかな?」
「うん、1.2年は体育着だって」
「そうなんだ。じゃあやってこうかな」

顧問は父だ。ちょっとわくわくしていた。



「1年の上屋綾音さん、今日から入るから」
部活の最初に部長が紹介してくれた。
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると大きな声で返って来た。
「よろしくお願いします!」

先輩たちがラケットを持ち始めて、自分もやれるのかと思ったらトレーニングだった。

「まず、20周走ってきて~」

部長の言葉に大声で1年が大きな声で、はい!と言って飛び出していく。
綾音も慌ててあとに続いた。

お父さん、まだかな…?

キツイ坂道を走りながらも綾音は思っていた。

1時間くらい走りこんでコートへ帰ってきた。へとへとだった。
コートをよく見ると父がいた。

裕ちゃん先生だ!

…違う違う、お父さんだよ。

自分で自分にツッコミを入れた。

休む間もなく筋トレが始まった。

キツイ…中学校の部活ってこんなにきついんだ。
小学校のときはなんとなくやっていた感じだった。
ちらりと父を見ると3年生に指導していた。

父がラケットを持ち、打った球を3年がきつそうに返している。
「何やってんだ!ちゃんと受けろ!」
父の怒号が飛ぶ。
はい!3年が叫ぶ。

お父さん、かっこいい……

自分の気持ちに気付いた。
学校に行くのにわくわくしてたのは、教師としての父が見たかったからだ。

そこまでは分析できたが、このどきどきは説明つかなかった。