トオルさんのプロポーズもビックリするくらいに急だった。
高校の卒業式を終えた夜、真っ赤なバラの花束を持って我が家へ現れた。
トオルさんの事はお母さんには話していたけれど、お父さんは何も知らない。
でも、悲しいかな、お父さんはトオルさんがEOCで働いていると聞いただけで、友好的な態度に変わった。
まだ学生だった私はEOCがどんな会社なのか何も知らなかったけれど、この日にとてつもなくすごい会社だという事を知った。
そして、トオルさんは私の二十歳の誕生日に結婚をする約束を無理やり両親と交わした。
私は…?
あまり何もこだわりがない私は、ま、いいか的なそんな軽い気持ちでOKサインを出しちゃいました。
昔の言葉で言えば玉の輿とか言うらしいけれど、そんなものにはあまり興味はなくて、でも、モデルの仕事は二十歳までと条件をつけられた。
まだ二年ある。
モデルとしての賞味期限もきっとその辺りだし、ちょうどいいかなみたいなそれさえもそんな軽い気持ちで私は結婚を決めた。
そして、二十歳の誕生日、オーストラリアにある最高級のホテルで私達は結婚式を挙げた。
青い空、青い海、そして、お金持ちでイケメンエリートのトオルさん…
私の超一流な新婚生活がこの日から始まった。