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「心友ちゃんっ」
やけに立派な校門をくぐったところで、声をかけられた。
私が最も聞きたくなかった声だ。
「舞彩ちゃん…」
朝から元気な舞彩ちゃん。
私はそんな元気でいられない。
「おはよう、心友ちゃん」
無垢な笑顔をこちらに向けてくる。
「うん…おはよ」
私がこんなテンションだというのにお構い無しで話を続ける舞彩ちゃん。
清水先生とキスできてご機嫌なんだろうか。
「心友ちゃんって意外とクールだね。もっとテンション高いのかと思ってた」
「舞彩ちゃんも。もっと大人しいのかと思ってた。じゃあ私急いでるから」
そう言って私は舞彩ちゃんから離れるべく駆け足で教室に向かった。