ドンッ


「ごめんなさ…」


「心友!?」


顔も上げずにぶつかったことを謝罪し、通りすぎようとしたら名前を呼ばれ、ハッと顔をあげる。


「お兄ちゃ…ん……」


涙が止まらない私を見たお兄ちゃんは、辺りを見回して誰もいない空き教室に私を引っ張り込んだ。


そこは更衣室のような場所だった。


いつから使われてないのかは分かんないけど、更衣室独特の汗の臭いがする。


「大丈夫か?」


私を椅子に座らせ、その目の前にしゃがみこむお兄ちゃん。


「お兄ちゃん…っ」


我慢できなくて、お兄ちゃんに抱きつく。


お兄ちゃんのぬくもりが心地よくて、落ち着くんだ。