廊下の曲がり角に身を潜め、先生たちが降りてくるのをじっと待つ。


……私、何やってんだろ。


自分でも呆れてるのに、動けなかった。


「あ、悪い。忘れ物。先、職員室行っといて」


「はーい」


語尾にハートがついてるんじゃないかってくらい可愛らしい口調。


それでも一宮先輩のような猫なで声に聞こえないのが不思議。


「♪~っ」


清水先生の足音は遠ざかっていくけど、女の子のご機嫌な鼻唄が近づいてくる。


「……!!」


階段から降りてきたのは、舞彩ちゃんだった。


おとなしめなカラーの髪の毛をふんわり2つに結んで、前に見たときより可愛い舞彩ちゃん。