それとは逆に、まったく苦労することもなく辿り着く奴もいる。その方がいい、苦労したからいい人生が送れる訳じゃない。

 パーシヴァルはラクベスを見やり、上品な物腰の中にある苦い経験をしてきた者、特有の鋭さに眉を寄せた。

 あいつは間違いなく、天才と呼べる部類の人間だろう。あの能力(ちから)さえ無ければ、表舞台で華々しく輝いていたかもしれない。

 持っちまったもんは仕様がねえよな。潔く、この世界で生きていくさ。

「後悔なんか、くそ食らえだ」

 パーシヴァルは口角を吊り上げ、結界を張る腕に力を込めた。