「霊術士(れいじゅつし)は皆さん、神の声が聞けるのですか?」

「いやいや、あいつが特別なだけだから」

 俺にはさっぱりと手を振り、アメリカ人らしい訛りのある日本語で答える。

 にわかに、ぴんと張り詰めた空気が走り、ラクベスの纏(まと)う気配が変わった。それに気付いた宮司は息を呑む。

「あの方はもしや、神降ろしを行えるのですか」

 この気配は、紛れもなく土地神のものだ。

 ここに来た当初は解らなかった柄幹(えみき)も、時折感じる優しく包み込むような空気が土地神のものだと理解するまで、そう時間はかからなかった。

「まあね」

「いやしかし、あんなに速く?」

 何か儀式めいたものをした様子もない。ほんの数秒、静かにしていただけだ。

「だからあいつは特別なんだよ」

「なんと」

 霊術士(れいじゅつし)という存在は、宮司になってしばらくしてから他の宮司から教えられたものだ。