「ところで、いい加減白雪姫、助けてあげませんか?殺人事件になる前に」

「誰がこん………な………」

王子様は白目向いて、よだれを垂らしている白雪姫をガン見しました。

「なんて………なんて美しいんだ!!」

「え?今さっき『これ』とか言ってませんでした?」

王子様は白雪姫をじっと眺めてから、鏡を振り返ります。

「今まで生きとしいけるものどれを見ても、僕以上に美しい者などいなかった。だが、死してなお美しい白雪姫に、どうやら恋をしたようだ」

もう最終回だから、展開早いですね。

「という訳で、鏡。白雪姫を連れて帰るぞ」

王子様が白雪姫を抱き起こそうとしたその時、王子様の服に着いている勲章の、ヒラヒラした部分が、白雪姫の鼻をくすぐりました。

そして―。

「はっくしょんっ!!」

大きなくしゃみと共に、喉に詰まっていたリンゴが飛び出し、白雪姫は目を覚ましました。

「?私は何を…………」

「…………」

王子様と白雪姫はお互いを見合います。

「…………もっかい死んでくれ。運命の人」

「………ほぉ」

ガッカリという顔を隠す気もなく晒した王子様に、白雪姫はどこからか取り出した弓矢を向けました。

「私が死ぬかお前が死ぬか、勝負という訳か」

「僕と決闘(結婚)しろ白雪姫」

「受けてたつ!!」


こうして、王子様は白雪姫を死体にするため、白雪姫は王子様を亡きものにするため、戦い続けるのでした。