先生の母校を出て、お昼ご飯を食べた。


そして最後に向かった先は…



「俺の両親の墓」



えーーーー?




「今日は命日なんだ」

「私何も知らなかった…」

「うん。陽菜には…言えなかった」

「それは私が同じように両親を亡くしてたから?」

「…ああ、そうだな。俺の両親も交通事故で、俺が小学生の時に亡くなったんだ」

「そんな大事なこと…」

「俺は陽菜の痛みを一番分かってた。だから、どうしても言えなかった。ごめんな。でも……知って欲しかったんだ、陽菜には」




先生は、優しいね。

いつも私のことを考えてくれていて
それがどんな理由であれ別にいいの。




「実はここに来るのもかなり久しぶりなんだ」

「そうなの…?」

「陽菜となら来れると思った」

「先生…」




私も先生みたいになれるのかな。

なりたいな。


強くて優しいあんな大人に。





「帰ろうか」

「……うん」




帰りの車の中は行きよりずっと静かだった。


だけど先生は片手でずっと手を握っていてくれていた。




先生のこと前より知ることが出来た。

そして前よりずっと好きになった。




先生。

先生も本当はまだ寂しいのかな?




私は時々寂しくて苦しくてどうしようもなくなるんだ。
そういう時、いつも先生のことを考えてる。



私も先生にとって少しでも心の支えになれたらいいのにな…