塾終わり、先生を待つことにした。


結婚してるって聞いて驚いた。
だけど…私の気持ちは何も変わっていない。


好きで好きでたまらない。

先生をーーーー私のものにしたいよ





「……陽菜?」




先生の車の前でしゃがみこんでいた私に気づいた先生は少し駆け足で目の前まで来てくれた。




「話があって…」

「……ドライブすっか」




そう言って先生は車を走らせた。




「先生、海見に行きたい」

「…ったく、しょうがねえな」




仕事終わりで疲れているにも関わらず
文句ひとつ言わず車は海の目の前へ止められた。



先生のこういう所が好きなんだ。




「先生…結婚のこと、どうして隠してたの?」

「俺はみんなに言ってもよかったんだ。でも、塾長が"湯川先生の人気でなくなる寸前だったこの塾にたくさんの子が入校してくれました。だからこそ、あなたの結婚でやめてしまう人がいるかもしれない。お願いします、黙っておいてください"って。
塾長には俺も恩があったし断るわけにはいかなかったんだよ」

「そうだったんだ…」




たしかに先生が結婚しているって知ったら辞めてしまう子はいるかもしれない。

だけどそれでもいいじゃない。

知らずに私みたく先生のことが好きより…




「他には?聞きたいこと、あるだろ?」

「……子供は?」

「いねーよ」

「どうして?欲しくないの?」

「ほしいけど……そういうのもうないからさ、体外受精でいいって奥さんは言ってる」

「ないって……エッチ?」

「お前なあ…」



少し安心した。

そっか。

身体の関係はないんだ。




「奥さんのこと、すき?」

「ーーーああ、好きだよ。すげえ大事にもしてる」




辛いーーーーーー


だけど…




「でも、できないの辛くないの?」

「そりゃあ…男だからな」




先生のそばにいる方法、一つだけ見つけたよ。