「住めないじゃん、それ。」



「そうなんだよな。でも引っ越せないし、当分あの部屋だ。」



「ふーん」



私はあとからきたであろうスープに気づき、すぐに飲み干す。



トマトと卵とワカメの優しいスープだ。



「うち来れば?」



驚く田淵に、私はスープカップのそこにひっついているワカメを食べながらそう言った。



「うち来ればいいじゃん。毎日ご飯作ってくれるんならずっといてもいいよ。美味しくなくなったら追い出すけど、どうせ毎週来てるんだし、毎日いても変わらないよ。」



反論させないかのように早口でまくしたてると私は食べ終わった食器を流しに入れ、部屋のドアノブに手をかけると田淵に振り返り、



「で、来るの?来ないの?」



と、問いかけた。



「あ、来ます…。」



いかにも勢いで頷いたような田淵をほって私は急いで部屋に入ってベッドに飛び込んだ。