会長はお花がお好き

吹いた風がひとひら、マーガレットの白を空へ招いた。

くるくるふわり、ダンスに誘われたように待った花びらが、どこかへ消えてしまう。

私の声も、校舎に何度か響いて、霧散した。

「やっぱり……いないよね」

「なにがやっぱりだボケ。今日もるっせぇんだよお前」

……この、人を見下したような言い方って……

昨日と同じ木の後ろ、昨日と同じようにひっそりと、彼はいた。

「かっ、会長……なんでっ」

「なんでもどうでもねぇよ。俺がいちゃまずいのか?」

「まずくは……」

ないけど、やっぱりまずいです。今のも聞かれただろうし。

「ぷ。なんだお前。超情けねぇ顔してやんの」

と笑った会長が、また、ぴしゃりと指と言葉を。

また、なにか嫌みなこと言われる。

「そこの花、茎が折れてぐらついてたぞ」

「え!?」

と思ったのに、意外な内容。

見れば一輪、様子がおかしいマーガレットが。

だけど――