「しおちゃんちょっと――あれ? 会長じゃん、どうしたの?」

なにか言おうとした先輩が、木にもたれ掛かってる彼に気付く。

えっと……会長って……?

「どうしたもねぇよ。ついうたた寝しちまっただけだ」

「あっ、うたた寝ぇ? 惜ッしぃーなあ。もうちょっと早く来れば会長の寝顔見れたのにっ」

「は、るっせぇよ」

冗談だろって感じで笑った彼は――

あ。そうだ……言われてみれば、見覚えがある。

たしか、入学式の時、私達を迎えてくれた……

「!! かかかっ、会長!?」

思わず叫んでいた。

入学式、私達を迎えてくれた会長は、私の記憶じゃこんな人じゃなかった。

人当たりのいい笑顔で、タンポポみたいに柔らかく話してくれて!

「ああ? るっせぇな、お前。ピーピー鳴くな」

「ぴっ、ピーピー!?」

こんなっ、人を見下して笑う人じゃなかった……!!