会長はお花がお好き

ダダダダン! と、ドアを叩く音。

「お前らっ、中でなにをしとるか! さっきの放送はなんだぁっ!!」

会長が舌を出した。

「うっげー。やべっ。来やがった!!」

「せせせ先生の了承なくあんな放送したんですか!?」

「バカっ、どこの誰が『女の子にコクるので放送室貸してください』なんて許すんだよ!」

「じゃあ無断ですかっ!?」

「バカ言えっ! 生徒会長の特権だ!!」

そんな特権あるわけがないでしょう!?

ダダダダン!

「こら開けろ、お前ら!!」

「わわわ……!」

先生達の声に怯えている私を、

「しおり!!」

会長が呼んだ。

彼は、窓のサッシに足をかけて、私に手を伸ばしていて。

私達は、脱走した。

校内ですれ違うみんなに冷やかされたり祝福されたりしながら、私達は走る。

もう片方の手で、会長の手をしっかり握って。

ステッカーとメッセージを握っている手を、胸に押しつける。

心臓がとてもとても強く鳴ってるのは。

走ってるからじゃ、ないよね。






風が吹いて、香りが舞った。

きっとマーガレットの花びらが、うたた寝するように揺れていると想う。

あの花壇の中で、いっぱいに。