会長はお花がお好き

にやりと、会長が笑った。

なにがどうなったのかちょっと混乱する私に、意地悪な笑み。

「はっ、は。だぁれがお前のその大切な言葉、ほかのヤツらに聞かせるかよ。お前の『好き』っていう言葉は、俺の独り占めに決まってンだろ?」

なななな!

「こ、この……アナタはなんて……っ」

なんてえらそうなの! と怒鳴るより早く、彼が私の頬に触れて。

腰を少し折って。

首を傾けて。

キスをしてきた。

すばやくて華麗なキス。

驚いてあとずさった私は、ダン、とパネルの上に手をついた。

舌が優しく、花びらを撫でるように私の唇を開いて。

彼の熱が、私と交わった。

息を許されないキス。

「ぁ、む……ん……」

ボゥ、ボゥ、と頭がグラクラして。

ステッカーを握りしめて。

頭のなかに、マーガレットの幻を見て。