会長はお花がお好き

授業もホームルームも終わって教室を出ると、クラスの女子が肩を叩いてきた。

「あれれれ? ねぇねしおり、今日園芸部は?」

「えと……今日はちょっと体調悪くって」

嘘だ。

ほんとはただ、あの花壇へ行ってメッセージカードを見てしまうこと。

そして会長に出逢ってしまうことが、怖いんだ。

会長がメッセージカードの差出人なら。

すごく嬉しいって、昨日の今日で思っちゃってる。

彼の勝ち気さと強引さに、飲まれたのかも。

だけど、ふたりの人物が違ったら。

私、どっちもきっと選べない。

だったら――

「そーなんだ。じゃあしおり、一緒に帰る?」

「うん。ありがと」

自分から、距離を置いてしまえばいいんだよね。




そして、




校舎を出て、




校門も出る、




寸前。



『しおりっっっ!!』

「!?」

突然会長の声が、校内に響き渡った。

『しおりっ、お前今どこにいんだ! さっさと来やがれしおり!!』