会長はお花がお好き

「おおーい会長、早くしてくれよ!」

「はいはい、わあったわあった!」

急かされて、会長が私の手を離した。

にかりと笑った彼がまた、ぴしゃりと指と言葉を。

「その手紙の相手がだれだか知らねぇけど」

……え?

「お前は明日も俺と逢うことになんだからな、覚悟しとけよ?」

そうして会長は、角を曲がっていなくなってしまった。

風が、また。

ひゅぅるらり。

マーガレットと、私の心のドキドキを、揺らした。

手紙と花びらを、胸に押しつける。

さっき私、会長がこの手紙の差出人かなって思ったのに。

――その手紙の相手がだれだか知らねぇけど――

その言葉が、疑問になって。

私は静かに、手紙と、花びらを抱き締めた。