会長はお花がお好き

「おうっ、今行く!」

返事をした会長は、昨日と同じ、勝ち気な笑みを見せた。

「じゃあな園芸部。俺様は忙しいわけ。お前はちゃちゃっと花を綺麗に咲かせる努力でもすんのな」

そして、さっさと行ってしまおうとする彼に。

今日はだれも止める人のいない口を開ける。

「しおりですっ!」

「あ……?」

怪訝に振り返る会長。

「私の名前は、園芸部でもお前でもないです! しおりですっ!」

「……」

風が吹いて、またひとひら、マーガレットの白が空を舞った。

それを会長が簡単に、優しく片手で捕まえる。

手中を見てほくそ笑んだ彼が、

「手ぇ出せ」

「えっ」

「ほれ」

私の手を取り彼、それを渡してくる。

「やる」

「え、あの」

「俺に逢いたかったら持っとけよ」

「え!?」

あ、逢いたかったらって……

「それが俺の無料呼び出し券みたいなもんだ。ありがたく思え」

む、無料呼び出し券って……!