会長はお花がお好き

「え? あれ?」

そのマーガレットには、細い棒がそっと結わえ付けられてた。

一度、植えなおされたあともある……。

「ああ、つか、もう俺がやったから」

「え?」

「言っただろが。折れてたって。俺がなおしたんだよ」

めんどくさいことしたなぁ、という投げやりな言い方。

気が付けば、彼の袖には土がついて汚れていた。

つい、

「あ、あの会長……」

訊いていた。

「花……好きなんですか?」

本当は……とても優しい人……?

会長がそっぽを向く。

「あ? バカじゃねぇの。そんなンじゃねーよ。ただ」

「ただ?」

「……お前、いつも手入れしてんだろ。……だからな……」

いつも、私が手入れ……

それを知ってるのは、私と、先輩と……

それから。

ギュウ、と、手紙を胸に押しつける。

ドキドキが、胸の奥から声になる。

「あのっ、会長、ひょっとして!」

「をーい会長、ちょっちこっち来てくれー!」

とその時、頭上から声が降ってきた。

見上げると、校舎の三階からだれかが手を振っている。