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「うーん、5分30秒ですね。目標の5分以内にはまだ届きそうにないですね」
榎田さんの声が出てから、一週間が過ぎようとしている。
榎田さんは、あの日を境に少しずつ変わってきていることを周囲の誰もが声を揃えて言っている。
なにより表情だって出てきたし、会話だって少しずつだけど話をすることが出来るようになった。
それに、車いす駆動だって初日はナースステーションから病室まで15分もかかったというのに、今日は5分30秒だ。
毎日記録を更新しているし、1週間ですごい進歩。
リハビリにだって、意欲が少しずつ垣間見られるようになってきている。
1週間前までの反応のない榎田さんの姿が嘘みたい。
