「・・・ノリコ。ダンスの相手が恋人だと言うなら、仕方が無いけど。・・・違うなら今日だけでも踊ってくれないか?」
声がする方を見れば、伊野君が近くに来ていた。
恋人・・・ではない。
ゆう君はいとこ。
いつも増して真剣な眼差しの伊野君に嘘なんて言えない。
なんて答えたらいいのか良い案もおもいうかばない。
つい下を向いて唇を噛む。
パーティーの音楽しか聞こえない沈黙が続いた後、ゆう君の静かな低い落ち着きのある声が耳に届いた。
「君の気持ちはわかったけど、僕たちは・・・」
言葉を切るゆう君をそっと見上げると、2人の視線が絡んだ。
ゆう君の目が何を言いたいのか読めない。
それに対して、今の私は不安の色でいっぱいの目をしているだろう。
私から視線を外し、小さく息を吐いてからゆう君の声がゆっくりと響き出す。

