白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】


目を開ければ、伊野君は私たちより5mくらい先にいた。



肩に置かれた手を見れば後ろからだった事に気が付く。

私じゃ無いその手を目だけで辿れば・・・

少し着崩したシャツにジャケットの前のボタンをしていない、ゆう君がいた。


「!!」


「悪い・・・遅くなって。でも、間に合ったな。」



口角を少しもちあげて微笑むゆう君。

少しだけ息が切れている。

額にはうっすらと汗が見えた。

急いで来てくれた?

私のため?

嬉しくて、嬉しくて、素直に抱きついた。

周りなんて関係なかった。

好きで、好きで、好きで仕方が無い。



「もうすぐ、ラストダンスって受付で聞いた。・・・にしても、これ邪魔なんだけど。なんの仮装?」

そう言って、私の背中に付く羽をゆう君は手で何度も避けている。

「オズの魔法使いの良い魔女グリンダ。・・・ドロシーの願いを叶えるんだよ。」



私の願いは叶わない。

だったら、誰かの願いを叶えてあげたい。

そう願って選んだ。



「魔女に羽なんてあるのか?」

ゆう君からガバっと離れて、パシっと腕を叩く。

「もう!夢が無いなあ。・・・絵本の挿絵にあったからいいの!」

イテー、なんて言いながら腕をさするゆう君。

わざとらしさに私は睨む。

『あと5分だよ!がんばれ、男子。希望を捨てるな!』

会場に響き渡るDJ役の子の声も、さっきとは違い気にならない。