私の名前を呼んで近づいてくるのは、違う日本の大学から来た伊野貴一(いの きいち)君。
最近の困りごとの1つ。
何かにつけ二人で出かけたがる。
自惚れじゃ無く、明らかに好意を示されている訳で・・・。
「伊野君・・・。」
伊野君を見て、なんでこんな幸せいっぱいの時に会うかな、と溜め息が出た。
ゆう君は私と伊野君の顔を交互に見ていた。
感の良いゆう君は、恐らく私の声のトーンでわかったのだと思う。
彼が苦手な事・・・。
「ノリコ!昨日、帰ってこなかったて、ルーシーから聞いて心配していたんだよ。」
「あっ・・・寮母のドロシーさんには電話してたんだけど・・・。」
ルーシーは、シンガポールから来た同じプログラムに参加している、寮では隣りの部屋の女の子。
彼女は伊野君を気に入っている。
だから、2人にカップルになってほしいと私は思っているのだが・・・。

