次の日、学校に行くと廊下で先生は私のクラスの子に囲まれていた。

何をしているのか近くに行くと、昨日一緒に買い物した友達が先生に話しかけていた。



「昨日、駅前を男の人と歩いてたでしょ?彼氏ですか~?ふふっふ。」



ニヤニヤして聞き出そうとしている友達がすごく嫌だった。

集まっている友達たちも、キャーとか言って盛り上がっている。

輪の中に入らないで、通り過ぎて教室に入ろうとすると先生の声が聞こえた。


「えー見てたの?まいったなあ・・・高校の1っこ下の後輩なんだ。」


後輩?
同じ高校だったんだ・・・。
なん~だ・・・。

ちょっとだけ、身体に入っていた力が抜けた感じがした。

心が軽くなって、ふーと息を吐いて、席に着きランドセルを机に置く。


「えー!彼氏じゃないんですか?仲良しそうだったですよぉ~。」


あんまりしつこいと嫌われるよ、と心の中で友達に言う。
友達がなんか、隣りのおばさんに見える。



「そう?・・・実は、今日も会う約束しているんだよね。」



え?
今日、会うの?


話し声が聞こえる廊下の方を振り向く。


「えーーー!先生、デート?」

友達が大きい声で叫ぶ。

「しー!・・・そうなるかな。」


デート・・・。


「じゃあ、じゃあ、これから付き合うかもしれない?」

「そうなるかもね。・・・そうなったら、明日、みんなに報告するね。・・・先生たちには内緒よ。ふふ」



それを最後に私の耳には、みんなが先生を冷やかす声が聞こえなくなった。

その日、一日授業も頭に入らなかった。

みんなから具合が悪いのか、と聞かれたから、そうかもしれないと答えた。

そして、家に帰ると熱が出ていた。