9月末で転勤の人の送別会を、会社の最寄の駅でもある春波駅の近くで開かれた。
1次会の居酒屋から外に出て、いつものように、帰宅組みと二次会組でワイワイしていた。
歩行者の通行の邪魔になっていたのは、もちろんのこと。
私は思いのほか飲んでいたようで、足元が少しふらついたが、時間も9時前と言う事もあり、二次会組に混ざっていた。
その時、目敏い女子力高めの先輩が声を上げた。
「あの人、イケメンじゃない?」
指差す方向を見る。
ふらついて同期の男子の肩を借りながら、見上げれば、ガヤガヤしている私たちの横を通り過ぎたのはゆう君だった。
「え?ゆう君?」
私のその声に気がつき、振り返るゆう君。
その隣りには、スタイルの良い綺麗系の女の人が並んでいた。
あ~あ、こんな酔っぱらった所なんて見せたくなかったなあ。
しかもあっちはデート中。
それも見たくなかった。
あまり見た事の無い不機嫌な顔で、ゆう君は近づいてきた。
そしてさっさと、私の上司に挨拶をして、同期の男子から私を回収し、デートしていた彼女への別れの挨拶もそこそこに、私を自宅へとタクシーで送り届けた。
そんな、初秋の夜の出来事・・・。

