「じゃあ、ノリの名前を入れてもらおうか?」
ゆう君が説明に使った紙を見ながら私に聞いてきた。
「ううん。私・・・『FROM YURI(悠理)』がいい・・・。」
それがダメでも、せめてゆう君が送ってくれたという証を残したい。
紙から顔を上げて私を見るゆう君の視線は感じているが、私は合わせられない。
断れそうで、なんだか怖い。
私たちが言葉を発し無ければ、店内の音楽が意外と大きい事に気付く。
「・・・そうして、ください・・・。」
ゆう君の声がした。
ダメだと言われるかと思っていたので驚きで反射的にゆう君を見る。
ゆう君はまだ私を見ていた。
視線が絡む。
「・・・いいの?」
おずおずと自信無さげに言うと。
「ノリがそうしたいなら、それがいい。」
そう言ってニコリと微笑んでくれた。
一気に嬉しくなる。
「では、こちらにご記入ください。記入されたとおりに入れさせていただきます。」
スタッフさんの声に従って、ゆう君はペンを取った。

