極上な王子は新妻を一途な愛で独占する

「家令殿は使用人でありながら王弟殿下の部屋の近くに立派な居室を持ち、王弟殿下とも非常に親しい。それに言動から高位貴族の特徴が見て取れとても一介の家令とは思えません。それらの事実とアルフレート殿下の後見役として、今まで表に姿を出さなかった謎の公爵子息が就任した件を合わせて考えれば、家令殿の正体は考えつきます」

淀みなく語る偽シェールに、カレルは警戒しながら答えた。

「なるほどな。随分と頭が回るようだ。それに先程の話からお前がこの館に来たのは昨日か今日のはず。それなのになぜ、この館の事を熟知している?」

「館の事については、詳細な報告を貰っているからです」

「誰から報告を受けていた? それにユジェナ侯爵付きの医師とも初対面ではないようだがなぜだ?」

カレルの問いを受けて、偽シェールは、自分の近くに控えていた医師テオドルに視線を向けた。

「テオドル“手紙”を持って来て」

テオドルは直ぐに立ち上がると、部屋の端の衣装箪笥から箱を一つ取り出した。

そして、ソファーの前の低い机の上にそれを置くと、そっと蓋を開けた。

「……これは?」

中には大量の封筒と、それなりの金額になりそうな紙幣が詰まっていた。

偽シェールは、それらを優しい目で眺めながら答えた。

「これはあなたが知るシェールが、サンレームに来てから私宛に書き溜めてくれた手紙です。紙幣も何かあった時の為にとあの子が私の為に貯めてくれていたものです。きっと自分のものなど何も買わなかったんでしょうね……」