極上な王子は新妻を一途な愛で独占する

シェールが王弟妃になったときに困った事の一つに、人に命令口調で話す事が有った。

自分より年上の人すらも、言葉ひとつで意のままに使う。相手が自分に従うのは当然。

そんな態度を平然ととるのは、簡単なようでなかなか難しい。

けれどカレルは、とても自然に「お前はもう行け」なんて傲慢にも聞こえる声音で言ってのけた。

きっと、普段からそう言った態度で過ごしているからだろう。

(カレルは人を使う立場の人……)

黒髪を持つ王族なのだから当然なのだろうけど、その事実を実際に目の当たりにすると、動揺してしまう。

シェールにとってカレルは、長閑なサンレームの村で一緒に過ごした、ちょっと意地悪だけど心根は優しい普通の青年だったからだ。


木の陰に息を潜めて身を隠しているシェールに気付く事なく、カレルと話していた男は足早に去って行く。

(……王弟館の方へ向かっている?)

そう言えば会話の中でも、『館が……』と言っていた。やはりカレルは、アルフレートとも関係があるのだろうか。

男の行く先を伺っていると、カサリと地に落ちた葉を踏む音が聞こえて来た。

ハッとして振り向くと、カレルがこちらに来ようとしている。

(こっちに来るの? どうしよう!)

今の会話を聞いていたことがバレたら、まずい気がする。