極上な王子は新妻を一途な愛で独占する

「よし! 終わったわ」

綺麗に処理した木の実を眺めてシェールは満足に頷いた。

「助かったよ。最近怪我人が多いから薬がよく売れるんだ。薬師が繁盛するのは良くないんだけどね」

ノーラはそう言いながら、木の実を籠に入れて行く。

「他にやる事はない? 洗濯は? 私ね、またしばらく来る事が出来ないの。だから仕事が有ったら今やるから言ってね」

「洗濯は大丈夫だよ。カレルが手伝いの人間を寄越してくれたからね。聞いているだろう?」

「聞いていないわ。カレルにはずっと会っていないし」

「そうなのかい? 私はてっきりあんた達がくっついたのかと思ってたんだけどね」

「な、何言ってるの? カレルとはそんなんじゃないから」

ノーラの思いがけない言葉を、シェールは慌てて否定する。けれど、ノーラはすました顔だ。

「あんたの気持ちは見てれば分かるから。今更隠さなくていいよ」

「ご、誤解だわ。カレルには絶対にそんな事言わないでよ?」

必死になって訴えるも、ノーラは取り合う様子なく言う。

「別に言ってもいいだろう? あんたとのただならぬ関係を告白して来たのは、カレルの方だよ」

シェールは驚き目を丸くする。

「どう言う意味?」

ノーラは愉快そうに笑って答える。

「シェールの長所は俺が知っているとか、手荒れの薬を作ってやれとか、あの他人に関心の無さそうな男の台詞とは思えなかったよ」

「カレルがそんな事を?」

本当だったら嬉し過ぎる。
頰に熱が集まって来るのを感じていると、ノーラが続けた。

「シェールが来なくなった理由も知ってるみたいだったからね。深い関係だと思うだろう?」

「……え? 理由を知っていた? どうして?」

冷や水をかけられたような気持ちになる。

浮かれていた気持ちが急速に萎んでいく。

(カレルは私の何を知っているの?)