極上な王子は新妻を一途な愛で独占する

翌朝、いつも何かと理由を付けてはシェールの部屋をノックする、マグダレーナの訪れは無かった。

王弟アルフレートの館は、以前の様に穏やかな静かさで満たされている。


「マグはちゃんと朝ご飯食べたかしら」

侍女の持って来た朝食をひとりで取りながら、シェールはぶつぶつと呟き、そう言えば最近独り言が減っていたかもしれないなと思い至った。

やはり、孤独な環境がひとりでしゃべると言う、側から見たら不審な言動を生むのだ。


「先の事を考えるとこの環境はまずいわ。何か対策をしないと……信頼出来る侍女でも居ればいいのだけど」

残念ながら、平民育ちのシェールに侍女の伝手などない。

サンレームに来てから親しくなったのは、ノーラとカレルだけ。

どうしたものかと考えながら、シェールは昨日から用意していた服に着替える。

秘密の外出用の服。
身軽で王弟妃にはとても見えない飾り気のないものだ。


手早い着替えが終わると、シェールは窓を開き、バルコニーを器用に乗り超え地面に降り立った。

部屋は二階だけれど、下はフサフサした芝生なので、何の問題もない。

苦もなく部屋から抜け出したシェールは、いつも通り裏門から外に出た。