極上な王子は新妻を一途な愛で独占する

「お前でもルドヴィークの事は知っているでしょう?」

「はい。名門貴族コルダ公爵家の三男で、マグダレーナ様の三歳年上の二十三歳です」

シェールは、輿入れ準備期間に叩き込まれた貴族の人物相関図を思い浮かべる。
何しろ付け焼き刃な知識なので詳しくはないが、コルダ公爵家は王家の血も引いていたはずだ。

但し、問題はそこではなくルドヴィーク本人にある。

彼は二十三歳にもなっても社交界に顔を出さず、王宮に出仕もしない引きこもり令息だ。

コルダ公爵家の広大な領地に篭り、なにやら怪しい研究をしているとか、そんな噂が流れている曰く付きの人物なのだ。

噂の方はマグダレーナから聞いた悪意溢れるものなので信憑性は薄いけれど、ちょっと変わった人であるのは間違いないだろう。

「お父様はどうしてあんな人を私の婿に選んだのかしら。ちゃんと相手の希望は伝えていたのに全然守られていない……信じられないわ!」

マグダレーナは憤慨して手にしていた扇を床に投げる。
彼女の癇癪には慣れているので、シェールは平然と問いかけた。

「どのような方を希望されていたのですか?」

「簡単よ。貴族としての地位が高く王家の血を引いてる事。ユジェナ家の財産目当てではない人。歳が私と釣り合って、乱暴じゃない人。背が高くて太っていなくて、顔は綺麗に整っている事が絶対ね、あっ、綺麗と言っても男らしくないと駄目よ」

饒舌に理想を語るマグダレーナを、冷めた目で見つめながらシェールは言った。

「ルドヴィーク様、だいたい該当しているじゃないですか」