「萌、好き…」
「……」
晴馬くんに囁かれる事だけでドキドキする。
背後から抱き寄せ頭を撫でる晴馬くんに心臓がやけに早く動く。
「…萌、なんか言えよ」
「うん」
「うん。ってなんだよ。なぁ、アイツになんかされた?」
「アイツって?」
「お前が浮かれてた男」
「…っ、」
あぁ、きっと佐々木くんの事だ。
もう思い出したくないのにな…
「されたんかよ。で、何された?」
「あ、えっと…」
「なんだよ、」
「うん。…キスを」
「やっぱすげぇムカつくわ」
耳元で囁いた晴馬くんが耳にキスを落とす。
晴馬くんの一つ一つに意識が向き胸が熱くなる。
耳から頬にキスが滑り、いつの間にかあたしは仰向けになってた。
真上にいる晴馬くんがあたしを見下ろす。
徐々に落ちて来る晴馬くんの唇にあたしは何も言わずに目を閉じた。
重なり合う唇が、やけに暖かい。
何度も重ね合わせてくる晴馬くんのキスが物凄く優しい。
もぅそれだけで意識が遠のきそうだった。
もっと。もっと。って思うあたしは欲張りなんだろうか。
それだけ晴馬くんの事が好き。
どれくらいキスに溺れてたのも分からない時だった。
ドンドンとなるドアの音。それと混じって「晴馬いる?」なんて声が聞こえる。



