「…晴馬君っ、」


居た事に安堵のため息が出た。


「え、なに?」

「良かった。居ないと思った」

「は?なんで?」

「だって晴馬くんっ、」


ベッドに飛び交って思わず抱きついてしまった晴馬君の体温を肌で感じる。

晴馬君が上半身、裸だからか自棄に体温が伝わって来る。


「え、俺がなに?」

「消えてると思った」

「は?訳分かんねーわ」


晴馬君はフッと鼻で馬鹿っぽく笑う。

良かった。喧嘩に行ってなくて。

あたしの頭の中は喧嘩する晴馬君と女ったらしの晴馬君のイメージしかない。


まだたくさん知らない事があって。

そんな晴馬君の事をもっと知りた。


「晴馬君の事、もっと知りたい」

「え、なに急に?」

「知らない事ばかりだから知りたいって思った」

「あー…んじゃ身体で教えたらいいってやつ?」

「え、えぇっ!?」


慌てて晴馬君の身体を離すと、晴馬君は頬を緩める。


「だって萌から抱きついて来たって事はそーなんじゃねーの?」

「ち、違うよっ、」

「じゃとりあえず寝ようぜ」

「えっ!?」

「つかなに萌ちゃんヤるのほうと勘違いしてんの?」

「してないよっ、てかなんで寝るのよ」

「話しやすい。ほら来いよ」

「えっ、ちょっ、」


寝転がった晴馬君がグイッとあたしの腕を引く。

必然的に倒れてしまったあたしの身体を晴馬君はグッと抱きしめた。