「ねぇ、晴馬君何処行くの?」
ご飯を食べて電車の中。
降りようとしていた駅が通過する。
「え、だから俺んち」
「え、でも駅過ぎたよ?」
晴馬君の家は芹奈ちゃんと最寄り駅が同じだって事は前々から知っていた。
なのにその駅を通り過ぎ、そして学校の最寄りの駅も通過する。
「あー…俺、あっちに住んでねぇから」
「え?どー言う事?」
「まぁ、いろいろと…」
降りた場所は初めて降りる場所。
人通りもそんななくて、駅の周りには喫茶店と薬局があるくらいで特に栄えてるってわけでもない。
「…晴馬君?」
見上げる晴馬君の表情が何故が沈んで見える。
あたし、来て良かったのかな…
晴馬君、何処に行くんだろう。
いったい何処に住んでるの?
「ここ」
暫く歩いて着いた場所はアパートだった。
しかも古びたアパート。
「え、ここ?」
「あぁ」
お世辞とは言えないほど綺麗だとは言えない建物。
階段を上るたびにギシギシと音が鳴る。
一番端の部屋に鍵を差し込んで、扉が開く。
「…晴馬君?」
なんだろ、この部屋。なんて思っていると「汚くてごめんな」そう言って晴馬君が苦笑いをした。



