「…萌。お前の事が好き」
「あたしも好きだよ。晴馬君の事もっと知りたい」
頬を緩めた晴馬君が再びキスをする。
なんだか晴馬君の催眠術にでもかかったみたいに、普段のあたしじゃない。
さっきまで言えなかった好きと言う言葉が、自棄に簡単に口から出てしまった。
もっと晴馬くんの事、知りたい。
まだまだ知らない事が多すぎて、晴馬君の全てを知りたい。
いつの間にかこんなに晴馬君にのめり込んでしまってた自分に驚く。
絶対に晴馬君なんかないって思ってたのに、今は晴馬君じゃなきゃって思う。
「…萌?」
「…え、あっ、」
「足りない?もっとしてほしい?」
覗き込むようにあたしの顔を見た晴馬君は、またクスリと笑う。
「う、ううん。もういっぱい」
「は?もういっぱいって何?俺は全然足りねーわ。まだこれからだし」
「こ、これからって何?」
「だって萌さ。今日一日、俺にくれんだろ?今から夜になるしさ、」
「えっ?」
「つか萌から言ったんだろ。俺の事もっと知りたいって」
「言ったけど…」
「てか萌なんなの?言った後に恥ずかしくなんの?」
「だって慣れないもん…」
「俺の方が慣れねーわ。いつものお前じゃねーから調子狂うわ」
「そうなの?晴馬君、女の子に慣れてるのに」
「他の女と萌は違うからな。つか、もう帰ろうぜ」
「え、でもっ、」
見上げて、見えないけど壁の奥を見つめてみる。
さっきまで騒いでた女の子たちが居そうで、怖い。



