「…んっ、」
咄嗟の出来事に目の前が真っ暗になった。
何故か唇が晴馬君の唇とくっついた所為で目の前が晴馬君で、埋め尽くされる。
え、なに?
何度も唇を合わせてくる所為であたしの吐息が漏れる。
思わず微かに目を開けると晴馬君は目を瞑ってて――…
「ちょ、晴馬君っ」
バっと手を晴馬君の胸に手をあて、唇を離すと、晴馬君はフッと鼻で笑う。
「萌。声出すなって、バレる」
「だって――…んんっ、」
後頭部に手を添えられ、再び晴馬君はあたしの唇を奪う。
何度も何度も重ね合わせ、「・・んあっ、」晴馬君の舌が滑り込んだ。
やばい。
意識が朦朧とする。
この壁の向こうには知らない誰かが沢山いる。
胸のドキドキと誰かに見られないかって言うドキドキ感が混ざり合い、余計に身動きが取れなくなる。
晴馬君の勢いに乗せられたまま唇が動いて行く。
それもそうと、物凄く優しいキスに溺れそうになる。
思い出したくもないけど、佐々木君のとは違う。
初めてする晴馬君との優しいキスにあたしは意識を遠のきそうな感覚になる。
…やばい。



