「藤堂晴馬の馬鹿やろー、何してんだよ!そんなのいつもの晴馬君じゃないよ!!でも、あたしはそんな晴馬君の事が好きだー!!」
届いて、お願い。
お腹の中から精一杯叫んだ声が更に周りをざわつかせた。
大声の所為で息が少し乱れる。
そんな呼吸を整えてるあたしの方に晴馬君の視線があたしとカチ合った。
そして晴馬君がフッと笑う。
〝萌のばーか…″
そう晴馬君の口が動いたような気がした。
「ちょっと萌ー、あんたの大胆な告白で周り引いてるよ?」
「えっ、」
背後からグッと麻友ちゃんに抱きしめられ、クスクス笑わられる。
咄嗟に言った事に思わず顔を赤らめる。
どうしよう。
何も周りの事を考えずに叫んでしまった。
「でもさ、凄いよね、アイツ。あんな腕払ってんのになんか余裕の顔してんじゃん?終わったらさ、手当してあげなよ」
「うん」
「おい、萌っ。見ろよ、晴馬の射型が変わった」
「え?」
隣に来たカイトくんが顎で晴馬君を指す。
「変わったって?」
「いつもの晴馬の射。お前の馬鹿っぽい告白で晴馬の射が変わった」
「ば、馬鹿っぽいって。やめてよカイトくんまで…」
ギャハハと笑う麻友ちゃんの声が響き渡る。
「おい、引くぞ」
パァンッ――っと音が弾く。
今までよりもズレる事無く、本当に中心に的中してる。



