「悪い、遅くなった」
「ねぇ、どんな感じなの?」
急いで来たのか透哉君と麻友ちゃんが息を切らせて後ろに座る。
その瞬間、「また外した、」周りの声で晴馬君を見つめる姿が涙で滲む。
周りの雑音に飲み込まれそうになる。
「藤堂君、いつもと違うよね?」
「あたしも思った」
その声に気付いたのか麻友がグッと顔を近づけて来る。
「なに?晴馬、負けてんの?どー言う事?」
「腕を痛めてる所為で射型が崩れてる。何度も腕を払ってるから…」
「痛めてるって?」
「麻友ちゃん、あたしの所為なの。あたしを庇ったから晴馬く――…」
「違う。萌ちゃんの所為じゃねぇよ。俺がもっと早く先輩を助けられなかったから。だから萌ちゃんの所為じゃねぇから」
透哉君があたしを庇ってくれる。
でも、そんなのあたしの所為に決まってる。
あたしが晴馬君の事をちゃんと聞いてればこんな事になってない。
「…外した」
麻友ちゃんが呟く。
あたし達は声を出す事も出来ずただ茫然と見つめる中、周りの雑音に何度も飲み込まれそうになってた。



