「お前の姉貴の為じゃない。俺は萌の為にやるだけ」

「萌の為って何?」

「萌との約束果たすだけ」

「約束?」

「ずっと引きづってたお前の姉貴の事。だけど今、萌の事想う片隅でお前の姉貴がチラついて先に進めなかった」

「……」

「とっくに吹っ切れたと思っていたけど吹っ切れてなくて。その中で萌を想う気持ちが強くなるいっぽう、俺の中で試したかった」

「……」

「あの日、お前の姉貴が出来なかった今、俺は自分と戦う。だから今日この日を選んだ」

「……」

「俺の中で決心が出来た今、今日この日で弓道は終わりにしようと思う。姉貴に報告した後…もうこの先、弓を引く事もないし触れる事もない」

「……」

「だから俺はこの試合にかけてる。萌の為に」

「そっか。良かった。もしお姉ちゃんを想いながら萌が好きだったらぶん殴ろうと思ってた。でも晴馬の気持ち聞けたから許す」

「……」

「頑張って」

「あぁ…」


晴馬君の言葉を聞いて胸が熱くなった。

あたしの事をそんな風に言ってくれる晴馬君に心を打たれる。


自分の気持ちが何故か軽くなった。

だから分かった。


あたしは、この人が好きだって…