「晴馬先輩、そんな恰好じゃ無理っしょ?はい持ってきたんで。んでこれ萌先輩の鞄」


校舎を出ると、透哉君の友達が晴馬君にシャツとあたしの鞄を渡す。


「悪いな」

「着替えたやつ、その辺に適当に置いてていーから」

「あぁ。後、頼む」

「了解っす」

「萌、こっち」


そう言って足を進めて行く晴馬君の背中からあたしは後ろへと視線を移す。

お礼の為に、コクリとお辞儀をすると、ヒラヒラと手を振ってくれた。


晴馬君に捕まれた腕が熱い。

熱を帯びてるみたいに、体温が伝わる。


「晴馬君っ、」

「心配かけんなよ、お前…」

「ごめん、ごめんね。ほんとにごめんね」

「透哉から電話もらった時、寿命縮まるかと思った」

「ごめん…」


校舎の曲がり角の水道に来ると、所々ついた血のシャツを脱ぎ捨てる。

蛇口を捻って水を出すと、晴馬君は腕を何度も洗ってた。


「怖い思いさせて悪かった。お前から南条って聞いてからアイツらの情報探ってて」

「……」

「まさか今日だとは全く思わなかった」

「晴馬君、全部全部知ってたの?」

「あぁ。アイツらあれで金稼いでるから」

「そうだったんだ。だから晴馬君あたしに会うなって、」

「どー言う奴らかハッキリお前に言えば良かった。言えば萌、怖がると思ったから。ごめんな」

「ううん。あたしが言う事聞かなかったからだよ?あ、晴馬君、これ」


鞄の中をゴソゴソと探る。

その中からフェイスタオルを取り出し晴馬君に差し出す。