「…芹奈ちゃん。…あのね――…」
「なんか晴馬に聞いたの?」
「えっ?」
あたしの言葉を遮った芹奈ちゃんにスッと視線を上げると芹奈ちゃんが笑ってくれた。
「だって萌。なんだかあたしにだけ冷たいね」
「えっ、そんな事ないよ?」
「そう?麻友とあたしの対応違うって思ったから。だからね、麻友が話して来いって」
「…え、麻友ちゃんが?」
「そうだよ」
「もしかして麻友ちゃん、風邪って嘘?」
「引いてるとしても麻友は保健室に行かないでしょ?」
「あ、」
そう言えばそうだった。
だからあの時、なんだか不思議だなって思ってた。
麻友ちゃんは、しんどいって言ってる時も絶対に保健室に行かない人なのに。
だから不思議だなって思ってたけど、結局、麻友ちゃんの笑いで遮られたって感じだった。
「萌見てるとすぐにわかっちゃう。晴馬がお姉ちゃんを好きだったって事で、あたしを見れなくなってる?」
「…っ、」
「そっか。やっぱそうだったんだね」
「ご、ごめん。芹奈ちゃん…」
「え、なんであたしに謝るの?」
「だって芹奈ちゃん、あたしの所為で無理に笑ってるから」
「えー…別に無理になんか笑ってないし」
「でも今日はお姉さんの大事な日でしょ?なのになんで笑ってるの?」
「だって過去を引きずっても仕方ないでしょ?それに別に忘れたわけじゃないし。まだ3年だし」
「……」
「それに今日、大会があるから見に行こうって思ってる。姉が亡くなる前に出る予定だった大会」
「……」
「3年前と同じ場所で大会があるって知ったから見に行こうと思って。これ食べたら行こうと思ってる」
「一人で?」
「ううん。透哉と一緒にだよ」
芹奈ちゃんは知ってるの?
そこに晴馬先輩が居るって知ってるの?



